鳩山邦夫の夢見た東京とは?元秘書・上杉隆は蝶を採るのが上手い【自然との共生・環境革命】
鳩山邦夫氏の元秘書である上杉隆氏が、都知事選出馬のきっかけとして「鳩山邦夫さんの夢見た東京を実現するチャンス」と語っていた。鳩山邦夫氏はどんな人物で、どんな東京を、世界を目指していたのだろうか?
故・鳩山邦夫氏とは?
- 鳩山邦夫 1948年~2016年6月(享年67歳)
東京大学法学部政治科卒。同大学2年~3年のとき首席であったが、勉強は大嫌いだった。「政治家になってからどんどん馬鹿になった」と自身は言っている。記憶力が並外れて良く、いわゆる天才タイプだったようだ。
憧れの人物は、田中角栄。田中角栄が通産省大臣のとき、「秘書になりたい」と言ったら断られた経験があるが、1972(昭和47)年、田中角栄が総理大臣になり、その私設秘書に。
1976年、28歳で無所属で衆議院選挙に初出馬し初当選。
1980年、自民党に入党。その後、文部大臣、労働大臣などを歴任する。
1996年に兄・鳩山由紀夫とともに民主党を結成。
1999年、衆院議員を辞職し都知事選立候補するも次点。
2000年に自民党へ復党。2007年-2009年には、法務大臣、総務大臣を務める。
- 父・鳩山威一郎(いいちろう)は元大蔵省官僚、元外務大臣
- 祖父・鳩山一郎は元総理大臣
- 母・安子はブリヂストン創業者である石橋正二郎の長女
1999年都知事選での鳩山邦夫
1999年の東京都知事選で、鳩山邦夫は「自然との共生」「ビオトープ構想」などの環境政策をとなえた。右肩上がりの経済成長は、バブル崩壊の一因ではないのか、これからは「ゼロ成長」もっと言えば「マイナス成長」でもいいのではないかと訴えた。
鳩山邦夫の環境政策
- 東京じゅうの河川のコンクリートをはがし、東京を多様な生態系のある街に生まれ変わらせる。お年寄りも子供も自然に親しめる街にする。
- 成熟した都市には経済成長は不要。経済成長をゼロもしくはマイナスにして、無理のない、皆が少しずつ幸せな東京にする。
これらの政策について当時、経済成長がほしいマスコミ、メディアは、自分たちの都合で間違って伝えた。鳩山氏は、「頭がおかしい」「変なやつだ」と叩かれた。
結果は石原慎太郎が当選し、鳩山邦夫は2位。
ビオトープ(biotopまたはbiotobe) 「生物生息空間」と訳され、多様な野生動植物の生態系が構築された空間のことを指す。
都知事選出馬の理由
後に鳩山氏は、都知事選に立候補したきっかけについて、次のように語っている。
兄と一緒に民主党という政党を一生懸命作ったが、失敗したと思った。もちろん、民主党の中に、良い人はたくさんいるが、日の丸や君が代を認めない人たちと一緒にやっていこうというのは無理だと思った。中にいる人の思想はバラバラだった。
そこで民主党を辞め国会議員を辞めようと決意。しかし、ただ辞めるのではなく知事選挙に出ようと思った。石原さんには勝てないとわかっていたが、出馬すればマスコミが注目する。そこで環境のこと、自然との共生について、言いたかった。
自然環境への想い
政党なんて何だっていい。とにかく環境革命を起こすこと、それしかない。
人類はユートピアとかITを目指していったら幸せになれない。アルカディア(桃源郷)という方向に進むために何ができるか。100年後の子供たちのために、環境革命の最初の一里塚を打ち立てたい。
この頃、秘書であった上杉隆が、鳩山邦夫を車に乗せて運転中に質問したそうだ。
「代議士、神様から政治家として一つだけ好きな政策をやっていいよと言われて死んでいくとしたら、何をしますか」
鳩山氏は「軽井沢にある1000メートル林道のコンクリートをひっぺがえして、雑木林のある元の生態系に、多様性のある自然環境に戻したい、そうしたら死んでいい」と答えた。
「都心では仕方ないが、郊外に行ったらみんなコンクリートを引っぺがして泥道にすりゃいい。そうすれば生態系がまるっきしかわって、豊かぁ~な自然になる」
蝶の研究者でもあった鳩山邦夫
鳩山邦夫は世界的な蝶の収集家であり、研究者であった。「蝶の魅力にとり付かれるというのは、女性やギャンブルに狂うよりも強烈なものがある。」と鳩山氏は語っている。
–マレーシアに行って、キングコブラに出会いながらも蝶の調査をしたことがある。人間がいかに自然を壊しているかというのは、蝶を採集しているとよくわかる。
–山の中に林道というのがあるが、林道を舗装したら、蝶は10分の1に減ってしまう。私は、長野県のある場所で毎年、蝶を採集していた。いろんな種類の蝶がたくさんいた。しかし、ある年に行ったらゴルフ場ができていて、蝶がいなくなっていた。悔しくて涙が出た。
アルカイダである「友人の友人」は蝶つながり
2007年、法務大臣時代に鳩山邦夫が「友人の友人はアルカイダ」と言って世間を騒がせたが、その「友人の友人」に当たる人物は、アントン氏という、ジュマ・イスラミーヤ(JI)所属のテロリストであった。そして、蝶の売買をする、バイヤーのまとめ役でもあった。現地で採取した蝶を彼が買い、インドネシアのアンボン島という場所で、日本人やその他の蝶のコレクターに売るという形だった。
珍しい蝶というのは、南米や東南アジアのジャングルなどの未開地にいる。イコール、テロリストたちの生息する場所と重なるわけだ。そうなるとどうしても水先案内人が必要となり、彼らとのつながりがあった、つまり「友人の友人」ということだったのだ。
鳩山氏はこのことを前置きなしに突然発言し、しかも法務大臣の立場であったので、大きな問題になった。
※ジュマ・イスラミーヤ…東南アジアの国々で活動するイスラム過激派グループ
上杉隆は蝶をとるのがうまい
2016年4月、「淳と隆の週刊リテラシー」に鳩山邦夫がゲスト出演した。
鳩山氏は、同番組レギュラーである上杉隆について、彼は秘書として優秀だったか?と聞かれると、
「上杉の唯一良かったところは、蝶を採るのがうまかったこと。山に行くと、7メートルくらいの竿で、入ったときから蝶が取れるんだよ。あとはあんまり役になったとは思わないなー」
と、笑わせた。また
「彼は案外、視野が広いんだよ。ほら、目が離れてるでしょ。カメレオンみたいな感じで」
と褒めているのかどうかわからないコメントも残した。
—
私はこのとき、番組を見ていて、鳩山邦夫氏が好きになった。上杉隆氏が彼を「ウソのつけない人」と評しているが、なるほど少し不器用で、でもサービス精神とユーモアのある好人物だと感じた。
参考:
フジテレビ「平成日本のよふけ」2003年
ミランカ「博士も知らないニッポンのウラ」2007年(インターネットTV)
時事通信社「鳩山邦夫氏、蝶を語る」2010年
TOKYOMX「淳と隆の週刊リテラシー」2016年4月
上杉隆・街頭演説
鳩山邦夫公式ホームページ
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