「淳と隆の週刊リテラシー」人質経験豊富な常岡浩介が解説 – オレンジ色の服の意味は？

1月24日、東京ローカルのTV番組「淳と隆の週刊リテラシー」内で、ジャーナリスト常岡浩介氏が、イスラム国人質事件について解説した。

TOKYO MX「淳と隆の週刊リテラシー」とは

東京ローカルTV局「TOKYOMX」で放送されている、ニュースを題材とした生放送のバラエティ番組。「普通の民放には出られないジャーナリスト」上杉隆が、多様性と言論の自由をテーマにニュースを語る。毎回、政治家などゲストを一人迎える。

• 放送開始： 2014年4月
• 放送時間： 毎週土曜17時～18時

毎回、田村淳の「情報を読み解く力、リテラシーを持って番組をご覧いただきたい」という口上から番組がはじまる。

出演者

週刊リテラシーのレギュラー出演者は4人。

田村淳 – メインMC

近年、政治に関心を持ち始めたという、ロンドンブーツ1号2号の淳。ニュースに疑問や関心を持って真剣に向き合っている様子が見られる。専門家の発言を質問しながらわかりやすく言い換えたりと、視聴者にも優しい。最近、「しがらみにとらわれたくない」という発言が多い。

上杉隆 – コメンテイター

福岡県出身のフリージャーナリスト（自称：元ジャーナリスト）で、境界なき記者団「NO BORDER」の代表。「大手メディアが伝えない真実」を発信し続け、普通の民放は出入り禁止となっている。番組内でも、他では聞けない政治やメディア裏情報を語る。

著書に、「ニュースをネットで読むと『バカ』になる」や、「私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。」（共著）等がある。

鈴木奈々 – コメンテイター

モデル・タレント。「奈々ちゃんにも分かるように説明してもらいましょう」のポジション。政治家に素朴な疑問をぶつける。天気予報も担当。

阿部哲子 – アシスタントMC

あべあきこ。フリーアナウンサー。同じTOKYOMXの番組「バラいろダンティ」の木曜MCも務める。

ジャーナリスト常岡浩介

1月24日の「週刊リテラシー」ゲストは常岡浩介（つねおか こうすけ）氏だった。

• 1969年生まれ
• 長崎県出身
• 2000年にイスラム教に改宗

常岡氏は、アフガニスタンや中東など危険な紛争地で取材を続けるジャーナリストだ。アフガニスタンに人質に取られた経験を持つ。番組レギュラーの上杉隆氏とは仲良しらしい。

戦場カメラマンの渡部陽一さんは、常岡氏に憧れてチェチェンについて行ったことがあるそうだ。

常岡浩介氏の主な経歴（事件）

常岡氏の最近の経歴は次のとおり。

• 2010年　アフガニスタンでタリバン幹部を取材直後、誘拐される。約5ヶ月間、武装勢力の人質となる
• 2014年　日本人学生がイスラム国戦闘員になるため渡航した事件の関係者とみなされ捜査される、後に「容疑者」とされる
• 2015年　1月21日、イスラム国との交渉ルートがあるとし、「邦人」救出に協力すると発表

今までに人質になった回数は4回以上と、「人質経験豊富」な常岡氏。上述のとおり、今回の事件ではイスラム国に交渉可能だと外務省に協力を申し出たが、以後政府からの連絡はないという。

常岡浩介氏のことがよくわかる本（漫画）
Amazon： 常岡さん、人質になる。

常岡浩介が語るイスラム国日本人拘束事件

1月20日に日本人2人を人質にイスラム国が政府に2億ドルを要求した「イスラム国日本人拘束事件」について、常岡氏と上杉氏によって語られた情報をまとめた。

イスラム国とイスラム教

日本では宗教について語られることが少ないので、イスラム教とイスラム国を混同する人がたまにいるが、二つは全く違うものだ。

イスラム教とは
イスラム教は、唯一神アッラーを信仰する宗教。イスラム教徒のことを「ムスリム」と呼ぶ。イスラム教の経典「コーラン」は、聖書と違い難解な文章であり、教義を認定する機関が存在しないので、過激なイスラム指導者、穏健な指導者など指導者によって解釈が全く異なる。

常岡氏もムスリムであり、「シャミル常岡」の名前を持っている。

イスラム国とは
イスラム国は指導者バグダディのもと、シリア東部やイラク北部武力支配しイスラム法に基づく新国家建設を目指している組織。

• 2004年 イラク駐留米軍を攻撃するためにできた「イラクの聖戦アルカイダ組織」が前身
• 2014年 それまで協力関係だったアルカイダと袂を分かち6月に建国を宣言。通貨やパスポートを発行している

国家を自称しているが正式には国ではない。イスラム国は異教徒には関心を示さないと分析されていたが、アメリカの攻撃が始まった後で外国人の処刑がはじまった。

湯川さんの裁判について

常岡氏はイスラム国のオマル司令官と「友達」。

人質の一人である湯川遥菜さんは、昨年2014年8月にイスラム国に拘束され、スパイ罪に問われていた。8月末頃イスラム国司令官から常岡氏に連絡があり、湯川さんの裁判に立ち会って欲しいと言われた。9月に行ったが湯川さんとは会えず、空爆が始まってしまったので待ってくれと言われる。

10月にもう一度行こうと準備をしていたが、日本人学生の件の関係者として警察の捜査が入り、身の回りのものを押収されたため行けなかった。常岡氏は、

• 湯川さんがイスラム教に改宗していること（改宗した人は、改宗前の罪は許される）
• 湯川さんが自己去勢をしていることから、イスラム国では「正常でない人」の扱いになり、罪に問えない

といった、裁判で湯川さんに有利になる材料を用意していたという。

イスラム国との交渉依頼がないことについて

常岡氏が今回、政府へ協力を申し出たが連絡がないことについては、本人から2つの理由があげられた。

• 警察から「私戦予備陰謀」容疑をかけられたため10月に湯川さんの裁判に行けず今回の事件を招いたと自分は言っている。警察当局もそれを分かっているはず。そのため当局は自分に連絡をしづらい
• 自分自身が疑われている。この件に限らずだが、アフガニスタンのときも、「タリバンとつるんで日本政府をゆすっている」と外務省内部で情報を流された。

警告ビデオについて

警告ビデオで湯川さんと後藤さんが着せられているオレンジ色の服は、サダム・フセインの時代の刑務所で死刑囚が着る色である。このオレンジ色の服で映像が出た人はすべて処刑されている。アメリカやイギリスの記者もこの服での画像が出た後処刑されている。

—

今までイスラム国からの人質解放に成功している国は、裏ルートを使って交渉し人質を解放できているそうだ。日本政府が「人命を第一」と言いつつ常岡氏に依頼しないというのは、やはり政府が常岡氏を信用していないということなのか。

この放送があったのは1月24日の夕方だが、その夜、新たなビデオが公開され、人質後藤さんの手には湯川さんと思われる人物の遺体写真（切断された首が横たわった胴体に乗せられている写真）が持たれていた。

人質解放の条件はヨルダン政府からの死刑囚開放に変更となっている。

淳と隆の週刊リテラシー