同じ薬でも処方箋薬局によって値段が違う？調剤基本料のジェネリック加算とお薬手帳問題

この前、処方箋薬局で薬をもらったら、いつもと同じ薬の種類・量なのに値段が50円高くなってる！

なぜなの？と尋ねてみたら「今月から後発医薬品体制加算が入ったので、これからはずっとこの値段」ですって。どうやら薬局によって薬の値段が違っているみたい。知っておけば節約できる？

お薬手帳の問題とあわせて調べてみたわよ。

処方箋の薬の値段

調剤報酬

処方箋薬局でもらう薬の値段は調剤報酬といって、厚生省によって算定ルールが決められています。病院・クリニックの診療報酬と同じね。

処方箋薬局でもらう領収証を見ると、いくつかの項目に点数が入っているわね。
この点数が調剤報酬の点数で、1点＝10円の計算になるの。

患者負担は100％ではなく、3割負担の人なら7割は国民健康保険か社会保険が支払うことになるわね。つまり、保険合計点数×3倍が、患者負担金額という風に計算できるわ。

薬剤料以外に、「調剤技術料」という項目の点数が多くなっているわね。

薬局によって異なる調剤技術料

領収証の「調剤技術料」の欄に入る点数は、処方のつど算定できる調剤基本料とその加算、調剤料という項目で構成されているの。
薬局によって異なるのは、この調剤基本料と加算の部分ね。

後発医薬品調剤体制加算

この加算は、調剤基本料の加算の一つで、後発品（ジェネリック医薬品）を処方した割合が55％以上あった場合に算定できる項目よ。薬局からは「ジェネリックの在庫を一定割合そろえていると加算できる」という説明を受けたわ。

• 後発医薬品調剤体制加算Ⅰ　55％以上　18点
• 後発医薬品調剤体制加算Ⅱ　65％以上　22点

処方箋薬局Aでは、「後発医薬品調剤体制加算Ⅰ」を算定し始めたので、

• 18点×3＝46円

3割負担の人なら約50円、薬代が多くなったってわけね。ちなみに、窓口で支払う料金（一部負担金とも言う）は、一円単位が四捨五入されるわよ。

基本調剤加算

薬局Aでは、後発体制加算Ⅰのほかに基本調剤加算Ⅱという項目も算定しているわ。これは、患者から薬局への連絡体制や在宅患者訪問対応、薬の在庫種類など、いくつかの項目を満たしていると算定できるもので、点数は36点よ。

薬局Aと薬局Bの比較

薬局Aの近くに、利用したことのない薬局、薬局Bがあったから、同じ薬が出たときにを薬局Bへ処方箋を持っていったてみたわ。すると、なんと100円も違いがあったの。
調剤技術料に注目して、それぞれの薬代を整理・比較してみましょう。

薬局A

薬局Aでの内服薬（1種類10日分）の会計は700円でした。

薬局A領収証

調剤技術料の内訳

• 調剤基本料　41点
• 後発医薬品調剤体制加算Ⅰ　18点
• 基本調剤加算Ⅱ　36点
• 調剤料　内服薬10日分　47点

合計　142点

142＋41＋50＝233
窓口負担　700円（233×3＝699を四捨五入）

薬局A（変更前）

薬局Aで、後発体制加算が入る前は650円だったのよね。

調剤技術料の内訳

• 調剤基本料　41点
• 基本調剤加算Ⅱ　36点
• 調剤料　内服薬10日分　47点

合計　124点
124＋41＋50＝215点
窓口負担　650円（215×3＝645を四捨五入）

薬局B

薬局B領収証

会計は600円で薬局Aより100円も安い！違いは調剤技術料だけね。
明細を見てみましょう。

調剤技術料内訳

• 調剤基本料　41点
• 後発医薬品調剤体制加算Ⅱ　22点
• 調剤料　内服薬10日分　47点

合計110点
110＋41＋50＝201点
窓口負担　600円（201×3＝603を四捨五入）

薬局Bでは、後発体制加算は薬局Aより4点高いⅡのほうを算定しているにもかかわらず、36点の基本調剤加算がないので薬局Aの変更前よりも安かったわ。早くから薬局Bに行っておけば良かったわね～。

※調剤報酬点数の内訳が載っている「調剤明細書」は、領収書といっしょに発行するのが薬局側の義務となっているみたい。今回、薬局Aでは明細がついていなかったので、電話で問い合わせしたわ。明細がついてなくて点数が分からない時は、聞けば教えてもらえるはずよ。

※薬がジェネリックに変更可能かどうかは処方箋に記載されています。後発体制加算等の基本料の加算は、薬局の体制に対する加算なので、調剤内容（後発品変更可か不可か、後発品の処方をしたかしないか）には関係なく算定されるわよ。

お薬手帳あり・なしで変わる薬学管理料

処方箋の薬の料金といえば、お薬手帳のことも問題になっているようね。

「おくすり手帳」は薬の飲み合わせなどを薬局側がチェックするために渡されるもので、薬局に行くと持っているかどうか必ず聞かれるわよね。「忘れた」というとシールをくれるけど、シールやお薬手帳自体を「いらない」といった場合、薬代が安くなるって本当かしら？

薬剤服用歴管理指導料

上の領収証の写真で「薬学管理料」の項には41点とあるわね。この41点は、薬剤服用歴管理指導料というもの。

• お薬手帳に処方内容を記載して指導を行った場合　41点
• お薬手帳に記載せずその他の指導や薬剤情報提供を行った場合　34点

手帳記載なしの34点というのは、2014（平成26）年4月に新設された項目よ。
お薬手帳はいりませんと拒否すれば、34点のほうの指導料が適用されて、3割負担なら約20円安くなるわけね。

シールだけで41点取るのは違反

実は、手帳なしの場合だけでなく、患者にシールだけ渡して薬局がお薬手帳の履歴確認をできていない場合も、34点しか算定してはいけないことになっているの。

厚生省が出している調剤報酬の疑義解釈に、お薬手帳に関する解釈が載っているわ。

（問18）
患者がお薬手帳を持参しなかったため、手帳に貼付するシール等を交付した場合であっても、
他の要件を満たしていれば、薬剤服用歴管理指導料は算定できると理解して良いか。
（答）
34点を算定すること。
なお、薬剤の記録を記入する欄が著しく少なく手帳とはいえないもの（例えば、紙１枚を折って作っただけの簡易型のもの）では、薬剤服用歴を経時的に管理することができないため、34点を算定すること。

引用： 平成26年診療報酬改正に関する疑義解釈資料

このルールを無視して、手帳を忘れた患者さんにシールだけ渡して41点を取っている薬局が多くあるとか。20円といえども不正に請求されるのは嫌よね。

同時に複数の医療機関にかかり多種類の薬を飲んでいる人なら、持っていれば本人も薬剤師さんも安心？な、お薬手帳。
でも、病院にめったに行くことがなくて風邪薬をもらって終わり、アレルギーもないという人には、いらないかも。手帳自体を断れば高確率で34点になるみたいだけど、新しい薬の時だけシールをください、と言うのも一つの方法かもしれないわね。

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今日は、処方箋の薬の値段について考えてみたわ。
薬代の節約は薬局選びから始まるってるわよ！