風邪が治らず頭痛と微熱が続くのは副鼻腔炎かも？鼻うがいで改善か【急性蓄膿症】

ここ数年、長引く風邪を年に一回のペースでひくようになっった。

普通の風邪なら高熱が出ても一晩寝れば回復するのに、どうも様子が違っている。咳やくしゃみ、鼻水などの症状がなく、「頭痛」と「微熱」だけが続くのだ。毎回、2週間経つと治る。

実はこれが、風邪ではなく急性副鼻腔炎だったのだ。

副鼻腔炎とは

鼻腔（びくう。鼻の穴）の奥には、鼻腔とつながり頭蓋骨に覆われた空間がある。

画像引用元： くさの耳鼻咽喉科

• 前頭洞
• 篩骨洞
• 上顎洞
• 蝶形骨洞

この4つの空洞のことをまとめて「副鼻腔」という。
副鼻腔の粘膜が細菌感染して炎症を起こし、膿がたまった状態が「副鼻腔炎」である。

「急性副鼻腔炎」と「慢性副鼻腔炎」がある。

原因

急性副鼻腔炎

多くは、鼻かぜやアレルギー性鼻炎が発端となって、粘膜が細菌や真菌に感染することで起こる。飛行機などの気圧の変化が原因となる場合もある。
急性副鼻腔炎のほとんどは1～2週間で完治するが、罹患期間が1ヶ月以内ならば急性と定義される。

慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎を放っておいて悪化すると、鼻腔と副鼻腔をつなぐ排泄路が粘膜の腫れでふさがれ、さらに膿がたまり慢性副鼻腔炎となる。
症状が2～3ヶ月以上継続するものを慢性副鼻腔炎という。

■ 「蓄膿症」と「副鼻腔炎」
一般に「蓄膿症」と呼ばれるのは「慢性副鼻腔炎」のことである（慢性蓄膿症とは言わない）。急性副鼻腔炎のことは「急性蓄膿」または「急性蓄膿症」と呼ばれる。

症状

副鼻腔炎の症状には次のようなものがあげられる。

• 頭痛
• 頭重感
• 顔面痛
• 鼻づまり
• 黄色や黄緑がかった鼻汁
• 後鼻漏（こうびろう）
• 発熱
• 嗅覚低下
• 集中力の低下
• 倦怠感、やる気が出ない

一人にすべての症状が起きるわけではないが、特徴的な症状は「顔面痛」である。眉や頬骨の辺りが痛いような、こっているような感じになり、指でぎゅっと押したくなる。

後鼻漏は、鼻水が上あごから喉に垂れてくる症状だ。とても気持ち悪い。

治療

副鼻腔炎の治療は、投薬を中心に行われる。抗生物質や膿を溶かす薬などが処方される。通院では鼻ネブライザー（吸入）などの処置を行う。
発症1ヶ月以内の副鼻腔炎は4週間薬を飲めば90％治るといわれている。

慢性副鼻腔炎で症状が進んでしまうと、薬では治りにくいため、内視鏡を使用しての手術となる場合もある。

ここがつらいよ！

今年、私が急性副鼻腔炎になったときの症状だ。辛かった順にランキングにするとこんな感じだ。

1. 集中力が低下/続かない
2. 眠気
3. やる気が出ない
4. 顔面痛
5. 頭痛、頭重感
6. 後鼻漏
7. 微熱

経験した人はおわかりだろうが、本当に嫌なものだ。

寝ても寝てもまだ眠い、「眠気」と「集中力低下」「やる気が出ない」のが本当につらい。
20～30分も集中するともう頭の中がどんよりしてくる。本さえ読めなくなり、ボーっとするか寝るしかなくなる。

一日中鈍い頭痛と顔面痛があり、頭が重い。ときどき頭痛薬を飲むと少しの間良くなる。
37.0℃程度の微熱が続く。ときどき寒気もある。だるい。
後鼻漏で口の中に鼻水のような膿が落ちてくる。吐き出さないと気持ちが悪いわけで、外出時はティッシュペーパーがいくらあっても足りない。ただ、私の場合鼻づまりはなく、鼻をかむことはほぼなかった。

耳鼻科へ

これまでは風邪と思い込んで医者に行かずにいたが、毎度のこの症状がまた2週間になると思うとしんどかったので、今回は、早めに行ってみることにした。
症状が出てから2～3日で耳鼻科に行くと、鼻処置の後鼻の吸入をさせられた。
抗生物質が処方されるかと思ったが、ムコダインだけ出た。ムコダインは痰や膿を溶かして出しやすくする薬だ。

結局、約2週間症状が続いた。抗生剤を飲めば早く治ったのかは、わからずじまいだった。

耳鼻科へ（その2）

※2016年8月追記

この夏にもまた、同じ症状に悩まされ、1ヶ月近く治らなかったので耳鼻科へ。前回の症状に加えて、初期にかなりひどい頭痛があった。

今回は、最初に頭部のレントゲン撮影をされた。額の部分や頬骨の痛むところに白いもやがかかっている。
そして、鼻ネブライザーは同じ。処方は、

• ムコダイン250mg　1回2錠　毎食後　7日分
• ルリッド150mg　1回1錠　朝夕食後　5日分

であった。前回はなかった、抗生物質が処方された。

レントゲンも前回はなかったのだが、私の先生への伝え方が違っていたのか、1ヶ月と長引いていたからなのかは不明。
ルリッド錠は、マクロライド系の抗生剤である。結果、ルリッド5日分を飲みきったあたりで、すっと症状がなくなった。さすがに治りが早かった。

市販薬や「鼻うがい」で治る？

副鼻腔炎を自宅で医者に頼らず治す方法はあるのか。

チクナイン

小林製薬「チクナイン」はドラッグストア等で購入できる副鼻腔炎・蓄膿症の薬。9種の生薬からなる辛夷清肺湯（シンイセイハイトウ）という漢方薬の錠剤である。鼻粘膜の炎症を抑える効果と、膿の発生を抑制する効果を謳っている。
レビューや口コミでは「効果がない」という評価が多数派だが、「症状が緩和した」「1年間飲んで副鼻腔炎が治った」という人も中にはいるようだ。漢方なので効き方の差が激しいのかもしれない。

1回5錠1日2回服用なので、70錠入りの商品は1週間もつことになる。効果を実感するまで人により3,4日～1ヶ月かかるそうだが、1ヶ月間試そうと思うと結構な出費になってしまう。

鼻うがい

自宅でできる鼻うがい（鼻洗浄）は、毎日行うと副鼻腔炎にかなりの効果があるようだ。

「鼻うがい」は、生理食塩水などを片方の鼻から注ぎ、口から出して鼻と喉の奥を洗浄する方法だ。インド式（アーユルヴェーダ）の鼻うがいの場合は、顔を横にし、鼻から注いだ水をもう片方の鼻から出す。鼻うがい器として専用の容器やキットも販売されている。

Amazon： 鼻うがい器（鼻洗浄器）

鼻うがいに使用する液は、生理食塩水が一般的だが、殺菌効果が高い微酸性電解水（プレフィア）で鼻うがいをする方法もある。

微酸性電解水で鼻うがいをする場合、使用する液の量は、喉に落ちたのがわかるくらいの量で良いようだ。うがいというより点鼻薬を使うような感覚に近いかもしれない。1日に数回行う。

私は生理食塩水で鼻うがいを試したことがあるが、最初は少し難しい。頭の角度によって耳の方に水が行ってしまうこともあった。正しい割合（濃度0.9％　水100cc：塩約1g）で塩を入れれば、液を流すこと自体は痛くない。塩が薄いと、しみる。終わった直後に鼻を強くかまないなどの注意も必要だ。いずれにせよ、鼻うがいをはじめるときは、よく勉強してからにしよう。

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副鼻腔炎は、咳や高熱が出るわけではないが、
集中力と元気を奪われる、地味で怖ろしい病気だ。
大人でも知らなければそれと気付かず、子供ならなおさら注意が必要だ。
かかってしまったら1ヶ月以内に全力で治そう。

参考文献： 病気が治る鼻うがい健康法(堀田修)